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BC材(青銅鋳物)とは?種類・特徴と、ブッシュ・軸受を長持ちさせる加工のポイント

2026/08/13

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BC材(青銅鋳物)とは?種類・特徴と、ブッシュ・軸受を長持ちさせる加工のポイント

BC材(青銅鋳物)とは何かを、BC2・BC3・BC6・BC7の違いやCAC記号との対応表とあわせて解説。鋳巣を踏まえた旋盤加工の留意点や、ブッシュ・軸受を長持ちさせる相手シャフトとの組み合わせまでご紹介します。

図面に「BC6」とだけ書かれていて、材料表にある「CAC406」との関係が分からない。ポンプや減速機のブッシュを青銅鋳物で作っているものの、1年ももたずにガタが出て交換している。当社には、こうしたご相談が届きます。BC材(青銅鋳物)は耐摩耗性と被削性のバランスがよく、すべり軸受やバルブ部品として長く使われてきた材料です。ただし素材が鋳物であるがゆえの難しさと、相手側のシャフトとの組み合わせという、材料カタログには載らない要素で寿命が大きく変わります。本記事では、BC材の種類と特徴、CAC記号との対応、旋盤加工での留意点を整理したうえで、当社が実際にどのように長寿命化をご提案しているかまでお伝えします。

BC材(青銅鋳物)とは?

【定義】 BC材とは、銅にスズを加えた合金である「青銅」を鋳造した材料の総称です。

銅とスズを主成分とする青銅を、砂型鋳造や連続鋳造で形にしたものがBC材です。現場では「砲金(ほうきん)」とも呼ばれます。かつて大砲の砲身に使われたことに由来する呼び名で、BC材・青銅鋳物・砲金の3つは、実務上ほぼ同じものを指していると考えていただいて差し支えありません。

BC材が100年以上にわたって使われ続けている理由は、本来は両立しにくい性質を1つの材料でまかなえる点にあります。すべり軸受に必要な「なじみ」と耐摩耗性、水や海水に対する耐食性、そして削りやすさ。鋼材のように焼入れで硬さを稼ぐことはできませんが、そもそも硬くする必要がない用途でこそ強みが出る材料です。 関連記事:SCM材(クロムモリブデン鋼鋼材)の特徴と加工方法とは?

ただし、すべてのすべり軸受にBC材が最適とは限りません。荷重の大きさや周速の条件によっては、樹脂系の軸受やホワイトメタルのほうが適する場面もあります。当社では材質ありきではなく、その部品がどう使われているかから逆算してご提案するようにしています。

BC材とCAC材、記号が2つある理由

図面によって「BC6」と書かれていたり、「CAC406」と書かれていたりします。結論から言えば、この2つは同じ材料です。BCが旧JIS記号、CACが現行のJIS記号(JIS H5120 銅及び銅合金鋳物)であり、呼び方が変わっただけで材料そのものが入れ替わったわけではありません。

現行記号旧記号引張強さ伸び主な用途
CAC401BC1165 N/mm²以上15%以上一般機械部品、装飾用
CAC402BC2245 N/mm²以上20%以上軸受、スリーブ、羽根車
CAC403BC3245 N/mm²以上15%以上軸受、ポンプ部品、耐摩耗部品
CAC406BC6195 N/mm²以上15%以上バルブ、給水用具、軸受、一般機械部品
CAC407BC7215 N/mm²以上18%以上軸受、一般機械部品

※機械的性質はJIS H5120に規定される値です。実際の鋳造品では肉厚や鋳造方法によって値が変わるため、厳密な強度計算をされる場合は素材メーカーのミルシートでご確認ください。

現場では今もBC表記が使われ続けています。当社に届く図面でも、BC6という旧記号のままのものが少なくありません。改訂前の図面がそのまま流用されているためで、これ自体が問題になることはまずありません。ただし、社内の調達システムや材料商社とのやり取りではCAC記号に統一されている場合があるため、どちらの記号でも通じる状態にしておくと、見積もり段階での手戻りが減ります。 関連記事:SNC材(ニッケルクロム鋼)のそれぞれの種類と特徴、加工方法まで解説!

BC材の種類と特徴

BC材は含まれるスズ・亜鉛・鉛の比率によって性格が変わります。数字が大きいほど高性能というわけではなく、それぞれ狙いが異なる材料だと捉えてください。

BC2・BC3・BC6・BC7の使い分け

分かりやすいのはスズと鉛の量です。スズが増えるほど強度と耐摩耗性が上がり、鉛が増えるほど削りやすくなります。

  • BC2(CAC402) スズ7.0〜9.0%、鉛1.0%以下。引張強さ245N/mm²以上、伸び20%以上と、青銅鋳物のなかでは強度と粘りを両立した材質です。高荷重の軸受やスリーブに向きます。
  • BC3(CAC403) スズ9.0〜11.0%と最もスズが多く、耐摩耗性を優先する部品に使われます。ただし鉛がほとんど入らないため、被削性はBC6に劣ります。
  • BC6(CAC406) スズ・鉛・亜鉛をそれぞれ4.0〜6.0%含むバランス型。耐圧性・耐摩耗性・被削性・鋳造性のいずれもよく、流通量が最も多い材質です。
  • BC7(CAC407) BC6より鉛を抑え(1.0〜3.0%)、スズをやや増やした中間的な位置づけです。

BC2とBC3は引張強さこそ同じ245N/mm²以上ですが、伸びはBC2が20%以上、BC3が15%以上と差があります。衝撃的な荷重がかかる部位ではBC2、純粋にこすれによる摩耗を抑えたい部位ではBC3、と考えると選びやすくなります。

BC6(CAC406)が最も多く使われる理由

当社に届く青銅鋳物の図面も、体感で8割以上がBC6です。理由は3つあります。鋳造しやすく素材が手に入りやすいこと、鉛が4.0〜6.0%含まれるおかげで削りやすく加工費が上がりにくいこと、そして水回りからバルブ、軸受まで用途の幅が広いことです。

つまりBC6は「特別に優れているから選ばれている」のではなく、調達・加工・性能のどれもが平均以上で、外れが少ないから選ばれています。この点を理解しておくと、後述する材質置換の判断がしやすくなります。

なお、鉛を含むBC6は、水道用の部材については鉛溶出規制の対象になる場合があります。飲料水に触れる用途では、鉛レスの銅合金(CAC411など)が指定されているかを図面と仕様書でご確認ください。 関連記事:ステンレス材(SUS)の特徴と加工方法

BC材と真鍮・鋼材の違い

混同されやすいのが真鍮(黄銅)です。真鍮は銅と亜鉛の合金で、BC材は銅とスズが主体という点が根本的に違います。

項目BC材(青銅鋳物)真鍮(黄銅)鋼材(S45C等)
主成分銅+スズ銅+亜鉛鉄+炭素
耐摩耗性(すべり)高い中程度表面処理次第
耐食性高い(海水にも可)中程度低い(防錆必須)
焼入れ不可不可可能
価格高い中程度安い

材質選定で迷ったときの判断軸

当社では、次の順番で考えることをおすすめしています。第一に「相手材と直接こすれるか」。こすれるならBC材の出番です。第二に「水や薬品に触れるか」。触れるならBC材かステンレスになります。第三に「荷重と価格」。荷重が高く、かつコストを抑えたいなら、鋼材に表面処理を施す選択肢が出てきます。

BC材は鋼材と比べると材料費が高く、部品によっては数倍の差がつきます。それでもBC材が選ばれるのは、交換頻度が下がることで設備の停止時間が減り、トータルで安く済むケースがあるためです。逆に言えば、こすれも腐食もない部位にBC材が指定されていれば、そこは見直しの余地があります。 関連記事:S45C(機械構造用炭素鋼)の特徴と加工方法

BC材が選ばれる場面と、選んではいけない場面

【ポイント】 BC材の適否は、荷重の大きさではなく「相手材との関係」で決まります。

BC材が力を発揮するのは、相手材より柔らかいことが有利に働く場面です。すべり軸受やブッシュでは、摩耗させたくないのは高価なシャフト側であり、消耗品であるブッシュ側が先に減ってくれたほうが都合がよい。この「身代わり」の役割を、なじみのよいBC材がうまく担ってくれます。

一方、選ばないほうがよい場面もあります。強い衝撃荷重が繰り返しかかる部位では、伸びが15〜20%程度のBC材は割れのリスクを抱えます。高温環境も苦手で、一般に200℃を超える領域では強度低下を見込む必要があります(実務上の目安であり、使用条件により異なります)。さらに、精度を長期間維持したい位置決め部品にも向きません。柔らかいということは、変形しやすいということでもあるためです。

当社にご相談いただいた例では、当初「摩耗するからもっと硬い青銅に変えたい」というご要望でしたが、お話を伺うと減っていたのはブッシュではなくシャフト側でした。この場合、BC材を硬くする方向はむしろ逆効果になります。 関連記事:シャフト摩耗の原因と対策|シャフトをコストメリット良く活用するためには?

BC材の加工方法と、鋳物ならではの難所

BC材は「削りやすい材料」と紹介されることが多く、その理解自体は正しいものです。ただし削りやすいことと、狙った精度で安定して仕上がることは別の話です。

旋盤加工での留意点

BC材、特に鉛を含むBC6は切りくずが細かく分断されるため、鋼材のように長い切りくずが工具に巻き付くトラブルは起きにくい材料です。その代わり、粉状の切りくずが加工面や機内に溜まりやすく、それを噛み込んで面を傷つけることがあります。当社では切りくずの排出経路を意識した工具の当て方と、こまめな清掃で対応しています。

もう一つ、鋼材の感覚で送りを詰めると、BC材は「逃げ」ます。材料が柔らかいぶん工具に押されて弾き返され、狙った寸法より大きく残ることがあります。特に薄肉のブッシュを内径から仕上げるときに顕著で、チャックの掴み方ひとつで真円度が数十マイクロメートル単位で変わります。

鋳巣・偏析への向き合い方

鋳物である以上、内部に鋳巣(ス)が入る可能性は避けられません。外周を削っていくと、狙いの寸法の手前でスが顔を出すことがあります。この状態で軸受として使えば、そこが起点になって摩耗が進みます。

だからこそ当社では、BC材の加工では取り代の設定を鋼材より慎重に決めています。素材の表層側は偏析や鋳肌の影響を受けやすいため、必要な性能が出る層まで削り込めるだけの余裕を残して素材径を選ぶ。この判断が、鋳物の加工では仕上げの技術と同じくらい効いてきます。ただし取り代を大きく取れば材料費と加工時間が増えるため、どこで折り合いをつけるかはご予算とご要望次第です。 関連記事:旋盤加工ってなに?意味と魅力について

BC材のブッシュ・軸受が早く摩耗する本当の理由

BC材のブッシュが想定より早くガタつくとき、原因がブッシュ側にあるとは限りません。当社がお客様の現場で見てきた限り、摩耗の速さを決めているのは相手のシャフト側であることが多くあります。

なぜそうなるのか。BC材は相手材より柔らかい前提で設計される材料です。その相手が焼入れもされておらず、表面が粗いまま組み付けられていれば、シャフト側の細かな凹凸がやすりのように働き、ブッシュを削り取っていきます。ブッシュだけを新品に替えても、削る側が変わっていない以上、同じ期間でまた減ります。

相手シャフト側の硬さと表面粗さ

すべり軸受として組み合わせる場合、実務上は次の2点を確認します。

  • 硬さの差 シャフト側を高周波焼入れなどで硬くし、BC材との硬さの差をはっきりつける
  • 表面粗さ シャフト側の面を細かく仕上げる。粗い面は潤滑膜を保持しにくく、金属同士の接触が増える

具体的な数値は荷重・周速・潤滑条件によって変わるため、一律の基準を示すことはできません。当社では、実際の使用条件をお聞きしたうえで、シャフト側の材質と表面処理まで含めてご提案しています。ブッシュ単体の図面だけを見て加工するのではなく、その部品がどの軸と組み合わされるかを伺うのは、このためです。 関連記事:高周波焼入れとは?特徴と適用できる材質について 関連記事:プーリーの摩耗による交換時期の見極め方と頻度を減らすための対策

当社だからこそできるBC材加工と長寿命化のご提案

平野鉄工株式会社は、愛知県名古屋市港区で1982年の設立以来、40年以上にわたってローラー・シャフトをはじめとする丸物部品の旋盤加工を手がけてきました。当社は「材料選定」「表面処理」「加工方法」の3つを組み合わせて部品を長寿命化させることを、一貫した方針としています。

材質置換まで含めたご提案

当社は鋳造メーカーではなく加工メーカーです。だからこそ、BC材ありきの立場を取りません。BC材のまま種類を変えたほうがよい場合もあれば、鋼材に表面処理を施して置き換えたほうが、コストも寿命も改善する場合もあります。

材料調達からお引き受けできるため、「この材質は手に入るのか」「納期はどれくらいか」という段階からご相談いただけます。図面の材質欄を書き換える判断は簡単ではありませんが、その検討材料をそろえるところは当社がお手伝いできる領域です。

1個からの短納期対応

BC材のブッシュや軸受は、保全部門から「壊れたので1個だけ」というご依頼が多い部品です。当社は多品種少量の丸物加工を主戦場としており、1個からのご注文にも対応しています。図面が残っていない場合は、現物からの採寸・製作もご相談ください。

内径・真円度の仕上げ

ブッシュや軸受スリーブの性能は、内径の寸法精度と真円度で決まります。BC材は柔らかく変形しやすいため、掴み方と加工順序の設計がそのまま精度に出ます。当社は丸物旋盤加工を長年の主力としてきた蓄積があり、薄肉部品の内径仕上げについてもご相談いただけます。

【要確認】保有設備名(旋盤の型式・加工可能径・加工可能長さ)、実際に対応可能な公差レンジ

BC材の加工事例

当社が手がけた丸物部品の加工事例は、事例ページにて材質・寸法とあわせて公開しています。軸受やプーリーなど、BC材と考え方が共通する部品の実例もございますので、あわせてご覧ください。 関連記事:軸受の加工事例 関連記事:Vプーリー(モーター側用)の加工事例

BC材の加工なら、ローラー・シャフト旋盤加工 長寿命化ナビにお任せください

ここまでお読みいただいたあなたのように、多くのご担当者が「またこのブッシュか」と思いながら、交換部品の手配を繰り返しておられます。当社は、その交換の回数そのものを減らすことをご提案したいと考えています。

BC材の種類選定、鋳物ならではの加工の勘所、そして相手シャフトまで含めた長寿命化。図面がお手元にある段階でも、「この部品、材質はこれで合っているのか」という段階でも構いません。丸物加工品の耐久性と精度でお困りでしたら、ぜひローラー・シャフト旋盤加工 長寿命化ナビにお任せください。 関連記事:お問い合わせ 関連記事:よくある質問

よくある質問

Q. BC6とCAC406は違う材料ですか?

A. 同じ材料です。BC6が旧JIS記号、CAC406が現行のJIS記号で、成分・性質に違いはありません。

Q. 砲金と青銅は何が違いますか?

A. ほぼ同じものを指します。砲金は青銅鋳物の通称で、現場ではBC材・砲金・青銅鋳物が同義で使われています。

Q. BC材は錆びますか?

A. 鋼材のような赤錆は発生しません。表面が緑青などに変化することはありますが、耐食性は鋼材より高い材料です。

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