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スプラインシャフトとは?種類・規格・加工方法から「材質と熱処理の決め方」まで徹底解説!

2026/08/13

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スプラインシャフトとは?種類・規格・加工方法から「材質と熱処理の決め方」まで徹底解説!

装置の異音が出はじめて分解してみたら、スプライン部の歯面が片減りしていた。弊社ではこうしたご相談をたびたびお受けします。図面通りに作られた軸なのに、想定より早くガタが出る。その原因は歯形の設計ではなく、材質と熱処理の組み合わせにあることが少なくありません。この記事では、スプラインシャフトの定義と種類、JIS規

装置の異音が出はじめて分解してみたら、スプライン部の歯面が片減りしていた。弊社ではこうしたご相談をたびたびお受けします。図面通りに作られた軸なのに、想定より早くガタが出る。その原因は歯形の設計ではなく、材質と熱処理の組み合わせにあることが少なくありません。

この記事では、スプラインシャフトの定義と種類、JIS規格での位置づけ、代表的な加工方法までを整理したうえで、あまり語られてこなかった「加工方法・材質・熱処理の依存関係」に踏み込みます。最後に、摩耗したスプラインシャフトを作り直すか直すかの判断軸と、平野鉄工がご提案している長寿命化の考え方をお伝えします。

スプラインシャフトとは?

【定義】 スプラインシャフトとは、軸の外周に複数の歯(溝)を設け、相手部品と噛み合わせてトルクを伝える軸のことです。

キーのように1本の部品で受けるのではなく、6枚・8枚・10枚といった複数の歯で荷重を分け合う点に特徴があります。歯の枚数が増えれば1枚あたりの面圧は下がりますので、同じ軸径でもより大きなトルクを伝えられます。

トルク伝達と軸方向の摺動を、1つの軸で両立させる部品

スプラインシャフトが選ばれてきた理由は、回すことと滑らせることを同時にこなせる点にあります。

歯が軸方向にまっすぐ通っているため、相手部品は軸に沿ってスライドできます。回転を伝えながら軸方向の位置を変えられる。この2つを1本の軸で成立させたい場面、たとえば伸縮するプロペラシャフトや、送りをかけながら回す工作機械の主軸まわりで、スプラインが使われてきました。ただし、すべてのスプラインが摺動を前提としているわけではなく、固定用途で使われるスプラインも数多くあります。

>>旋盤加工で作られている丸物部品の特徴

キー1本で受けるか、歯全体で受けるかの違い

平行キーとスプラインの差は、荷重を受ける面の数です。

平行キーは、軸に彫ったキー溝にキーを1本入れて回します。構造が単純で加工も容易ですが、トルクはキー1本の側面に集中します。スプラインは同じトルクを6枚以上の歯に分散させます。だからこそ、キーでは軸径を上げるしかなかった場面でも、スプラインなら軸径を上げずに対応できることがあります。

外スプライン(軸側)と内スプライン(穴側)は、必ずセットで考えます

スプラインは軸だけで成立しない部品です。

軸側の歯を外スプライン、穴側の歯を内スプラインと呼びます。両者ははめあいで組み合わさるため、軸だけを高精度に仕上げても、相手の穴側が緩ければガタは消えません。弊社にご相談いただく際も、軸の図面だけでなく、相手側の部品や使用条件をあわせて教えていただけると、ご提案の精度が上がります。

スプラインの種類と、JIS規格での位置づけ

スプラインは歯形と中心合わせの方式で分かれます。国内ではJIS規格が2本立てになっており、図面を読むうえでの前提になります。

まず整理しておきたいのが規格番号です。Web上には「JIS B 1603が平行スプライン」といった記載も見られますが、正しい対応は下表の通りです。

規格番号名称内容
JIS B 1601:1996角形スプライン-小径合わせ-寸法,公差及び検証方法角形(平行)スプラインの寸法・公差
JIS B 1603:1995インボリュートスプライン-歯面合わせ-一般事項,諸元及び検査インボリュートスプラインの諸元・検査
JIS B 0006製図-スプライン及びセレーションの表し方図面上の表記方法

出典:日本規格協会、技術計算製作所

角形スプライン(JIS B 1601:小径合わせ)

歯の側面が平行な、古くから使われてきた形です。

JIS B 1601では溝数6・8・10の3種類、小径d 11〜112mm、大径D 14〜125mm、スプライン幅B 3〜18mmが規定されています。軽荷重用と中荷重用の2系列があり、同じ小径でも中荷重用のほうが大径を大きく取ります。はめあいは「滑動」「固定」「自由」の3形式で、穴側はブローチ加工後無処理でH9〜H11が基本です(出典:KHK小原歯車工業)。

>>歯切り加工とは?

インボリュートスプライン(JIS B 1603:歯面合わせ)

歯形が歯車と同じインボリュート曲線でできているタイプです。

JIS B 1603ではモジュール0.25〜10の15段階、圧力角30°・37.5°・45°が規定されています。歯底形状は圧力角30°で平底と丸底、37.5°と45°は丸底のみです。はめあい区分はH/k、H/js、H/h、H/f、H/e、H/dの6種類。角形に比べて歯元が太く応力集中が緩やかになるため、同じ寸法なら伝達トルクを大きく取れます(出典:技術計算製作所)。

歯車と同じホブで加工できることも、インボリュートが広く使われている理由の一つです。

ボールスプライン・スライドスプラインという選択肢

摺動の抵抗を下げたい場合には、専用の機械要素が用意されています。

ボールスプラインは歯の間にボールを介在させ、転がり接触で軸方向に動かす構造です。摺動抵抗が小さく、負荷がかかった状態でも滑らかに動きます。一方で、専用品として購入する部品になりますので、寸法や仕様は選べる範囲に限られます。特殊な寸法や材質が必要な場合は、切削でスプラインを起こすほうが現実的なこともあります。

キー・スプライン・セレーション、どれを選ぶべきか

【ポイント】 選定を分けるのは、軸径・伝達トルク・軸方向に動かすかどうかの3点です。

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スプラインとギヤシャフトはいずれもトルク伝達に使われますが、歯のかみ合い方と役割が異なります。ギヤシャフト側の加工工程や長寿命化の考え方も確認すると、設計上の違いが明確になります。 ギヤシャフトの加工方法と長寿命化 →

「なんとなくスプライン」で図面を引くと、加工費が必要以上に上がります。逆に「キーで足りるだろう」と進めて、キー溝の側面がつぶれて戻ってくることもあります。判断軸を先に決めておくのが確実です。

軸径・トルク・摺動の有無で切り分ける

一般的な使い分けの目安を表にまとめます。

結合方式適用の目安特徴
平行キー小〜中トルク/摺動なし/軸径φ10〜100mm加工が容易でコストが低い
半月キーテーパ軸との組み合わせ/軸径φ10〜60mm自己調心・組立が容易
スプライン大トルク/軸方向摺動あり/軸径φ20mm〜大トルクと摺動を両立
セレーション小〜中トルク/位置決め重視/軸径φ6〜40mm細歯・多枚数で角度を細かく決められる

出典:金属データブック たすいち

この表はあくまで目安です。同じ軸径でも、衝撃荷重が繰り返しかかる用途では一段上の方式を選んだほうが結果的に安く収まる場合があります。

>>ローラーシャフトとは?

平行キーで足りる範囲、足りなくなる境目

キーからスプラインに切り替える判断は、トルクの余裕率で見ます。

軸径φ20〜60mm、伝達トルクが設計値の60%以下に収まっているなら、平行キーで問題になることは多くありません。この範囲を超えてくると、キー溝の側面圧が上がり、面圧でつぶれる、あるいはキー溝の角から疲労き裂が出る、という壊れ方をします。弊社にお持ち込みいただく摩耗品でも、キー溝の角が起点になっている例は珍しくありません。

セレーションは「回す」より「角度を決める」ための歯です

セレーションはスプラインの一種として扱われますが、狙いが少し違います。

歯が細かく枚数が多いため、組み付け時の角度を細かく決められます。ステアリングシャフトや調整用のレバー軸のように、位置を正確に合わせたい部分で使われます。伝達トルクを増やすことが主目的ではありません。

スプラインシャフトの代表的な加工方法

スプラインの歯を作る方法は複数あり、ロット数と要求精度で選び分けます。

ホブ切り(創成法)

歯車と同じホブカッタを使い、回転させながら歯を削り出す方法です。

インボリュートスプラインの標準的な加工方法で、加工速度が速く量産に向いています。歯形の種類ごとにホブが必要になるため工具費はかかりますが、一度そろえてしまえば効率のよい加工です。角形スプラインもホブで加工できます。

>>歯切り加工とは?

転造

工具を押し当てて塑性変形させ、歯を「起こす」方法です。

削り取らずに材料を盛り上げて歯を作るため、切りくずが出ません。歯元に沿ったファイバーフローが残るので、切削品より疲労強度で有利になります。自動車部品のように数万本単位で流れる部品では転造が主流です。ただし、素材の変形能に依存する加工ですので、材質と硬さの制約が切削より厳しくなります。

ブローチ・スロッター

穴側(内スプライン)の加工では、ブローチが標準的な選択肢になります。

ブローチは長い工具を1回通すだけで全溝を仕上げる加工です。溝の位置精度がそろい、加工時間も短くなります。一方で専用工具になるため、単発や小ロットには向きません。数本単位のご相談であれば、スロッターやワイヤ放電で対応するほうが総額が下がることもあります。

研削・シェービングによる仕上げ

熱処理後の精度を出したい場合は、仕上げ工程を追加します。

焼入れで歪んだ歯面を研削で追い込む、あるいはシェービングで歯面を整える方法です。歯面粗さが下がると、摺動時の摩擦と摩耗が抑えられます。

>>歯面研削とは?

加工方法別の比較

加工方法主な対象ロット精度留意点
ホブ切り外スプライン中〜大歯形ごとに工具が必要
転造外スプライン材質・硬さの制約が大きい
ブローチ内スプライン中〜大専用工具・小ロット不向き
スロッター/ワイヤ放電内スプライン単発〜小加工時間が長い
研削・シェービング熱処理後の仕上げ全般最高工程追加でコスト増

加工方法を決めると、使える材質が決まります

【ポイント】 スプラインの仕様は、歯形・材質・加工方法の3つが互いに縛り合っています。

図面を引く順番として「材質を決める → 熱処理を決める → 加工方法を探す」という進め方をされることがあります。当社の経験では、この順番だと最後の工程で行き詰まることがあります。加工方法が先に決まっている部品では、選べる材質のほうが後から絞られるためです。

転造は「削る」のではなく「起こす」加工です

転造を選ぶと、素材に求められる条件が変わります。

材料を塑性変形させて歯を立てるため、素材が硬すぎると歯が立ちません。焼ならしまたは焼なましの状態で転造し、そのあとに熱処理を入れるのが基本の流れです。「調質してから転造する」という工程は成立しにくく、順番を入れ替える必要があります。

切削なら材質の自由度は上がりますが、歯元に切削目が残ります

ホブ切りやブローチであれば、材質の制約は転造ほど厳しくありません。

調質材でも工具さえ選べば削れます。その代わり、歯元に切削の刃物目が残り、繰り返し荷重がかかる用途では、そこが疲労の起点になることがあります。ロットが小さく材質を優先したい部品なら切削、数が流れて疲労強度を稼ぎたい部品なら転造。弊社ではこのように切り分けてご提案しています。

S45C・SCM435・SNCM439、スプラインで実際に多い3つ

材質の選定は、伝達トルクと使用環境で決まります。

  • S45C:入手性がよく、高周波焼入れとの相性がよい炭素鋼。中トルクまでの一般用途
  • SCM435:クロムモリブデン鋼。調質・浸炭のいずれにも対応し、強度と靭性のバランスがよい
  • SNCM439:ニッケルクロムモリブデン鋼。大トルク・衝撃荷重がかかる部品向け

>>S45Cの特徴と加工方法とは? >>SCM材(クロムモリブデン鋼鋼材)の特徴と加工方法とは?

「材質を先に決めてから加工方法を探す」と、行き詰まることがあります

順番の話を、もう一段だけ具体的にお伝えします。

たとえば「大トルクなのでSNCM439、歯は転造で」というご相談をいただいた場合、そのままでは工程が組めません。SNCM439は転造には硬すぎるためです。この場合、切削でスプラインを起こして浸炭焼入れをかけるか、あるいはSCM435に落として転造+高周波にするか、という2案に分かれます。図面が固まってからでは選択肢が減りますので、材質と加工方法は同時に検討していただくのが確実です。

熱処理をどの工程に入れるかで、精度と寿命が変わります

【ポイント】 スプラインの熱処理は、硬さそのものより「どの工程で入れるか」が効きます。

歯を切ってから焼入れするのか、焼入れしてから歯面を仕上げるのか。この違いだけで、同じ材質・同じ硬さでも精度と寿命が変わります。

歯を切ってから焼入れするか、焼入れしてから仕上げるか

工程順には2つのパターンがあります。

1つは、旋削 → 歯切り → 焼入れ、で終える流れです。工程が短くコストは抑えられますが、焼入れの歪みがそのまま歯面精度に出ます。もう1つは、旋削 → 歯切り → 焼入れ → 歯面研削、という流れです。歪みを研削で取り切れる代わりに、工程が1つ増えます。摺動を伴うスプラインや、噛み合い精度を求められる部品では、後者を選ぶことが多くなります。

高周波焼入れは歯先だけが硬くなる場合があります

高周波焼入れをスプラインにかける際は、硬化層の入り方に注意が必要です。

高周波は表面から加熱するため、形状が凹凸していると、突き出た歯先に熱が集中しやすくなります。歯先だけが硬くなり、実際に面圧を受ける歯面や歯元の硬さが不足する、という結果になることがあります。コイル形状や加熱条件で調整はできますが、歯形が細かいスプラインほど難しくなります。

>>高周波焼入れとは?シャフトやギヤの耐久性を高めるためのポイントとは?

浸炭焼入れは歯面全体に入りますが、歪みが出ます

歯面全体を硬くしたい場合は、浸炭が有力な選択肢になります。

浸炭は炉の中で表面から炭素を入れるため、歯先・歯面・歯元にほぼ均等に硬化層が入ります。摩耗に対しては高周波より有利です。一方で全体を加熱しますので、歪みは大きくなります。長尺のスプラインシャフトでは、浸炭後に曲がりが出て振れ取りが必要になることもあります。

>>浸炭焼入れとは?効果、長寿命化への応用まで徹底解説!

焼入れ後に歯面を追い込むなら、研削代を残しておく必要があります

歪みを研削で取る前提なら、歯切りの段階で仕込みが要ります。

焼入れ後に研削するのであれば、歯厚に研削代を残して歯を切っておかなければなりません。この取り代設定を工程設計の段階で決めておかないと、焼入れが終わってから「削る余地がない」ということになります。ここは加工側と熱処理側の両方を見ていないと決められないところで、弊社が窓口を一本化してお受けしている理由の一つです。

スプライン部の摩耗とガタは、なぜ起きるのか

装置の異音や振動でご相談をいただき、分解するとスプライン部が減っていた。弊社ではこのパターンを何度もお受けしています。

歯面のあたりが偏ると、片側だけが減ります

摩耗の多くは、荷重が全歯に均等にかかっていないことから始まります。

スプラインは6枚以上の歯で荷重を分担する構造ですが、これは軸と穴の芯が出ていることが前提です。芯がずれる、あるいは軸が曲がっていると、特定の歯だけが強く当たります。当たっている歯が減ればガタが増え、ガタが増えれば当たり方はさらに偏ります。

>>シャフト摩耗の原因と対策|シャフトをコストメリット良く活用するためには?

摺動させないスプラインで起きる「フレッチング」

動かしていないのに減る、という現象があります。

フレッチングは、はめあい面が微小な振動を受けたときに生じる摩耗で、さび色の摩耗粉が出るのが特徴です。ジェイテクトの技術資料では、しめしろ不足が発生条件として挙げられており、対策として「しめしろを大きくする」「はめあい面に潤滑剤を塗布する」が示されています(出典:ジェイテクト)。固定用途のスプラインで、組み付け後に動かしていないはずの部分が減っている場合は、これを疑います。

ガタが出はじめてからの進行は速くなります

スプラインの摩耗は、直線的には進みません。

歯面が減ってすきまができると、トルクの立ち上がりのたびに歯が衝撃的に当たるようになります。その衝撃がさらに歯面を削ります。異音が出た時点で手を打っていただくほうが、結果として安く収まる、というのが弊社の実感です。ただし進行の速さは荷重条件によって大きく変わりますので、一律の交換周期を決めきれない部品でもあります。

潤滑の切れとさび色の摩耗粉

分解時に確認していただきたい点があります。

歯面に赤茶色の粉が付着している場合は、フレッチングか潤滑切れが進んでいます。グリースが黒く硬化している、あるいは歯面に金属光沢が出て鏡のようになっている場合も同様です。摩耗の原因を特定せずに同じ仕様で作り直すと、同じ時期に同じ壊れ方をします。

摩耗したスプラインシャフト、作り直すか・直すか

【ポイント】 判断は、摩耗量・摩耗した場所・繰り返しの有無の3点で行います。

弊社では、再生できるものは再生し、再生に向かないものは仕様を変えて新規に製作する、という方針でご提案しています。どちらが安いかは部品によって逆転します。

判断軸①:摩耗量はどれくらいか

まず測っていただきたいのが、直径での摩耗量です。

弊社では、摩耗量が直径でΦ2.0mm以下であれば、肉盛りや溶射による再生を検討できると考えています。これを大きく超えると、盛る量が増えて母材への入熱も増え、歪みの修正に手間がかかります。結果として新規製作のほうが安くなることが多くなります。

>>シャフト摩耗の原因と対策|シャフトをコストメリット良く活用するためには?

判断軸②:歯そのものが減ったのか、軸部が減ったのか

同じ「摩耗」でも、場所によって手の打ち方が変わります。

軸受が当たるジャーナル部や、シール部が減っているだけであれば、その部分を肉盛りまたは溶射して研磨で仕上げる再生が現実的です。歯面そのものが減っている場合は話が変わります。歯を盛り直して切り直すことは技術的には可能ですが、歯形精度を出す工程が必要になり、費用は新品に近づきます。

判断軸③:同じ壊れ方を繰り返していないか

2回目以降のご相談では、仕様変更をご提案しています。

同じ部品が同じ時期に同じ場所で壊れているなら、その仕様が使用条件に合っていません。元の図面通りに再生しても、また同じ時期に戻ってきます。材質を一段上げる、熱処理を高周波から浸炭に変える、硬質クロムめっきを追加する。こうした変更のほうが、トータルでは安くなります。単価が上がっても、寿命が3倍になればコストは下がる、という考え方です。

>>硬質クロムめっきの特性を活かすには?丸物加工品の長寿命化を実現するためのポイントを解説!

切り分けチェックリスト

  • 摩耗量は直径でΦ2.0mm以下か
  • 減っているのは歯面か、軸部か
  • 同じ壊れ方を繰り返していないか
  • メーカー撤退などで、そもそも新品が手に入るか
  • 過酷な衝撃荷重が繰り返しかかる箇所ではないか

上3つが再生寄り、下2つに該当する場合は仕様変更を含む新規製作をご提案することが多くなります。ただし、装置の停止可能時間によっては、納期を優先して判断が変わる場合もあります。

長寿命化のために、平野鉄工がご提案していること

【ポイント】 弊社は、図面通りに作ることだけがご要望への回答だとは考えていません。

平野鉄工は1982年の設立以来、金属部品の製造・加工を手がけてきました。ローラーやシャフトといった丸物の旋盤加工を軸に、材料選定・表面処理・加工方法の3要素で部品を強く・硬く・長寿命にすることを事業の柱にしています。

材料選定の段階から逆提案します

ご相談の入口は図面であっても、弊社が最初に伺うのは使用条件です。

どこで、どのくらいの負荷で、どのくらい持たせたいのか。ここが分かると、図面に書かれた材質と熱処理が本当に合っているかを検討できます。ご指定の仕様より一段安く済む場合もあれば、逆に一段上げたほうが総額が下がる場合もあります。

>>SCM材(クロムモリブデン鋼鋼材)の特徴と加工方法とは?

旋削・熱処理・歯切り・表面処理を、一つの窓口でまとめます

スプラインシャフトは、複数の工程をまたぐ部品です。

弊社は歯切りや溶射といった工程を協力会社と連携して手配し、旋削・仕上げと合わせて一括でお受けしています。工程が分かれていると、研削代の設定や熱処理の順番といった工程間の調整が、お客様側の負担になります。窓口を一本化することで、その調整を弊社側で吸収できます。

「スプラインの図面通りに」というご依頼を、そのままお受けしない場合があります

弊社の立場をはっきりお伝えしておきます。

同じ部品を短い周期で作り直しておられるお客様に、同じ図面で見積を出し続けることは、弊社の役割ではないと考えています。実際に、材質と熱処理の変更をご提案し、初回の単価は上がったものの、交換頻度が下がって年間の費用が下がったケースがあります。もちろん、装置の設計上どうしても仕様を動かせない部品もあります。その場合は図面通りにお作りします。

スプラインシャフトの加工事例

続いて、実際に当社で製作したスプラインシャフトの加工事例をご紹介いたします。

スプラインシャフト

スプラインシャフト

こちらは、サイズΦ54×150mm、材質S45Cのスプラインシャフトです。調質処理を施し、旋盤加工、マシニング加工、スプライン加工によって製作しています。

圧下スクリュー設備用のめねじとオスメスで噛み合う設計で、ズレを防止するためのキー加工も施しています。調質処理による硬度向上により、耐久性と精度を長期間維持できる仕様です。

詳細はこちら

シャフト・ピン・軸に関する加工事例はこちら

対応範囲

弊社は丸物でΦ5mmからΦ900mmまで(協力会社ネットワークの活用時)、長さは2,000mm程度までの加工実績があります。スプライン部の歯切りは協力会社と連携して手配しますので、軸の旋削から歯切り、熱処理、仕上げまでを一括でお引き受けできます。

スプラインシャフトのご相談は、平野鉄工へ

ここまでお読みいただいたあなたのように、多くのご担当者が「この軸、また減って戻ってくるんだろうな」と思いながら見積を出しておられます。

図面がなくても、現物と使用条件からご提案できます

図面が残っていない部品のご相談も承っています。

現物をお預かりして寸法を採り、使用条件を伺ったうえで、材質と熱処理を含めてご提案します。廃番になった部品や、メーカーが撤退した装置の部品でも、対応できる場合があります。

まずはお問い合わせください

摩耗した現物の写真だけでも、判断材料になります。

「これは再生できるのか」「材質を変えたほうがいいのか」といったご相談から承ります。図面・現物写真・使用条件をお送りいただければ、弊社から具体的なご提案をお返しします。

>>お問い合わせはこちら

よくある質問

Q. スプラインとセレーションの違いは何ですか?

A. 歯の細かさと目的が異なります。セレーションは歯が細かく枚数が多く、組み付け角度を細かく決める用途に向きます。

Q. スプラインのJIS規格はどれを見ればよいですか?

A. 角形はJIS B 1601、インボリュートはJIS B 1603です。図面上の表し方はJIS B 0006に規定されています。

Q. スプラインが摩耗した場合、補修はできますか?

A. 軸部の摩耗であれば肉盛り・溶射での再生が可能です。歯面が減っている場合は新規製作をご提案することが多くなります。

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